大阪地方裁判所 昭和42年(わ)1058号 判決 1967年6月12日
本店所在地
大阪市南区心斉橋筋一丁目一二番地
株式会社 宇治園
右代表者
重村正明
本籍
大阪市南区心斉橋筋一丁目一二番地
住居
右同
会社役員
重村正明
大正二年二月二八日生
右被告会社及び被告人に対する法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官豊島時夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社宇治園を罰金二八〇万円に
被告人重村正明を懲役五月に
それぞれ処する。
但し被告人重村に対し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社宇治園は大阪市南区心斉橋筋一丁目一二番地に本店を置き、茶の販売等を営業目的とする資本金四〇〇万円(昭和三九年四月の増資による)の株式会社であり、被告人重村正明は右会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、同被告人は被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて、公表経理から売上を除外したり、架空仕入を計上するなどの不正な方法によつて所得を秘匿したうえ
第一、昭和三八年四月一日から昭和三九年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一七、九八八、五七三円で、これに対する法人税額が六、七二七、一八〇円であつたのにかかわらず、右所得金額中一六、一一九、八七六円を秘匿して、昭和三九年五月三一日大阪市南区内所在の所轄南税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額は一、八六八、六九七円で、これに対する法人税額は六〇八、一九〇円にすぎない旨所得金額等を過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、右秘匿所得に対する法人税六、一一八、九九〇円は法定の納付期限を経過するもこれを納付せず、もつて不正行為により右同額の法人税を逋脱し
第二、昭和三九年四月一日から昭和四〇年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一六、三七八、二四〇円で、これに対する法人税額が六、〇一九、二六〇円であつたのにかかわらず、右所得金額中一四、三二六、二三〇円を秘匿して、昭和四〇年五月三一日、前示所轄南税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額は二、〇五二、〇一〇円で、これに対する法人税額は六二六、三三〇円にすぎない旨所得金額等を過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、右秘匿所得に対する法人税五、三九二、九三〇円は法定の納付期限を経過するもこれを納付せず、もつて不正行為により右同額の法人税を逋脱し
第三、昭和四〇年四月一日から昭和四一年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一五、四七四、〇三三円で、これに対する法人税額が五、四七九、三八〇円であつたのにかかわらず、右所得金額中一三、九三八、五四九円を秘匿して、昭和四一年五月二七日、前示所轄南税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額は一、五三五、四八四円で、これに対する法人税額は四一六、四三〇円にすぎない旨所得金額等を過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、右秘匿所得に対する法人税五、〇六二、九五〇円は法定の納付期限を経過するもこれを納付せず、もつて不正行為により右同額の法人税を逋脱し
たものである。
(証拠の標目)
一、南税務署長の証明書三通(確定申告書謄本)
一、登記簿謄本
一、平田文夫、鈴木洋子、伊藤寅吉、池田房代、荒木忠男、岡田兵二、前田音羽、大村兵治、中村哲生、磯田義人の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、白鹿弘作成の調査書二通
一、細山昇の確認書二通
一、白鹿弘作成の脱税額計算書三通
一、法人税決議書謄本二通
一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書四通及び検察官に対する供述調書四通
一、押収中の総勘定元帳三冊、借方勘定内訳帳三冊、貸方勘定内訳帳三冊、納品書領収書綴六綴、決算表三綴(昭和四二年押第四五九号1乃至13)
(法令の適用)
被告会社及び被告人の判示第一、第二の罪は昭和四〇年法律第三四号法人税法附則第一九条により、改正前の法人税法第四八条第一項(被告会社につき更に同法第五一条第一項)に、判示第三の罪は昭和四〇年法律第三四号法人税法第一五九条第一項(被告会社につき更に同法第一六四条第一項)にそれぞれ該当するところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから被告人につき所定刑中各懲役刑を選択したうえ、同法第四七条、第一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をなし、被告会社につき同法第四八条第二項により各罰金額を合算した刑期、金額の範囲内において、被告会社株式会社宇治園を罰金二八〇万円に、被告人重村を懲役五月にそれぞれ処し、情状に鑑み刑法第二五条第一項を適用して本裁判確定の日から二年間被告人重村の右刑の執行を猶予する。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 村上幸太郎)